研究紀要 48号

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第48号 2003年 12月01日刊行    紀要一覧へ
タイトル パウル・クレーの絵画「アド・マルギネム」と武満徹
A Study of Toru Takemitsu’s Critique on Paul Klee’s “Ad Marginem”
著作者 石野 眞
Makoto ISHINO
ページ 1−8
概要  作曲家・武満徹は20歳の若き日に美術雑誌『アトリエ』に「パウル・クレエの音楽」と題してパウル・クレー絵画の「アド・マルギネム」を取り上げて執筆した.武満徹の創作活動初期に流れるパウル・クレーへの傾倒,作曲における絵画性の曙光について考察し,武満徹のパウル・クレーの絵画「アド・マルギネム」の記述について研究する.
クレーのバウハウスにおける教育ノートとクレーの作品についての継続研究である.
キーワード

パウル・クレー 武満徹 アレキサンダー・クレー エドガー・ポー カンディンスキー

タイトル 電子メール・カウンセリングに対する学生の態度の検討
A Survey of Students’ Attitudes toward E—mail Counseling
著作者 河村 壮一郎
Soichiro KAWAMURA
ページ 9−18
概要  携帯電話やインターネットの普及によりメールによるカウンセリングが定着しつつある.鳥取短期大学でも2002年度よりメール相談を開始した.本研究では学生のメール利用の状況,メール相談への態度を調査した.その結果,携帯メールの利用率,利用頻度が高いことが示された.メール相談に対する意識は個人によって異なり,メール相談に積極的な態度を示した者は2割程度であった.メールの利用状況とメール相談への志向性との強い関係は認められなかったが,メールでの感情表現の強さとの関係があると示唆された.学生のメール相談の既知率は低く,メール相談の利用が拡大する可能性が示唆された一方,今後の課題が明らかにされた.
キーワード

メール・カウンセリング 学生相談 メール利用 質問調査

タイトル BM 106428およびBM 106172
On the Texts of BM 106428 and BM 106172
著作者 大江 節子
Setsuko OH’E
ページ 19−26
概要  犯罪が発生した際,その行政区や,その近隣の者に犯罪の責任を問う法規は,古来の法制に散見する.シュメール・ウル第三王朝時代にもそのような慣習があった蓋然性が高いことを,裁判記録から検証する.また,BM 106172をもとに,証人を表す術語lu´—ki—inim—maとlu´—inim—maの違いの再確認,離婚裁判を巡るコメントを付す.
キーワード

シュメール 裁判記録 犯罪 lu´—ki—inim—ma lu´—inim—ma

タイトル 山陰地方における「特別支援教育」施策の展開
—「特別支援教育への転換」に対する市町村の意識—
Development of “Special Support Education”Policies in the San—in Region of Japan
—The Consciousness of Local Governments towards “Change to Special Support Education”—
著作者 國本 真吾・澤田 淳太郎
Shingo KUNIMOTO, Juntarou SAWADA
ページ 27−38
概要  国の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」の提言を受けて,地方自治体における「特別支援教育」へのシステム転換が期待されている.今回,山陰地方の市町村に実施した調査から明らかになったことは,市町村は「特別支援教育」の基本的方向への一定の理解を示しつつも,急速な国の動きに対して十分に追従することが困難な実態であった.中央レベルとは異なる地方独自の事情を鑑みれば,特別支援教育へのシステム転換には自治体の基盤確立と自治体を育成する一定の期間の確保が求められる.都道府県単位から市町村へという,段階的な特別支援教育へのシステム転換の実施が期待される.
キーワード

特別支援教育 特別なニーズ教育 特殊教育 地方分権 市町村 システム転換

タイトル 中国の茶文化
chinese tea culture
著作者 銭 剛 
qian gang
ページ 39−47
概要  中国は茶樹を最も早く発見し,利用した国であり,茶の祖国とも言われている.中国で発見された茶葉はアジアからヨーロッパへ,そして全世界へ広がっていた.中国の茶文化は世界をめぐり歴史で果たした役割は大きいと言える.本文は,中国茶の歴史,分類,飲み方及び茶文化の普及と対外交流などを考察する.
キーワード

茶樹 茶葉 薬用 発酵度 作法 茶道

タイトル 青年期の友人関係のルールに関する研究
—親友と友人に関して—
The Rules of Adolescent Friendships
著作者 畠山 寛
Hiroshi HATAKEYAMA
ページ 49−57
概要  本研究の目的は,現代青年期の友人関係を親密さの観点から親友と友人に分類し,それぞれに対してどのような関わり方やルールが存在するのかについて明らかにすることであった.大学生402名(男性213名,女性189名)を対象に検討した.その結果,ルールには「親密さ」「自己呈示」「葛藤回避」の3つの構造的側面が存在すること,それら3つの側面に対する評価の違いにより,親友,友人のそれぞれに3つの異なる関わり方があること,親友や友人との関係が異なるルールによって統制されていること,さらに,親友と友人では異なる関わり方であることが明らかにされた.
キーワード

ルール 友人関係 親密さ 青年期

タイトル 質問紙調査の分析に見る子どもの歌唱行動
Survey Analysis of Children’s Behaviour Towards Music
著作者 羽根田 真弓
Mayumi HANEDA
ページ 59−65
概要 The purpose of this study was to define which kinds of songs children prefer to sing today. I made a thorough investigation of 137 children, aged 3—6 years old. Children from the age of 4 years old prefer animation songs. According to this result, I expect it is due to the development of the words and experience of music. Children aged 5—6 years old tend to prefer Japanese popular songs.
キーワード

Music Environment, Animation Songs

タイトル 戦後家族法の出発点
Starting Point of Post—War Family Law
著作者 浜田 章作
Shosaku HAMADA
ページ 67−78
概要  1900年に制定,施行されたわが国の家族法は,特異な家族国家イデオロギーと結びつき,天皇制絶対主義による国民支配の法的装置の骨格をなした.1945年の終戦を機に新たに制定された日本国憲法が,個人の尊厳と男女の本質的平等を定めたため,これに反する家族法は全面改正を余儀なくされた.その後の法と社会のありようは,憲法と家族法が目指した方向に進んでいるか,疑わしい.戦後家族法の出発点をあらためて確認する必要がある.
キーワード

family

タイトル 伝承あそびと運動感覚
The Connection Between Traditional Play and the Development of Children’s Kinesthesia
著作者 松本 典子
Noriko MATSUMOTO
ページ 79−86
概要  幼児の運動感覚の発達を効果的に促す手段としての伝承あそびの可能性を探るため,次の2つの観点で調査した.
(1) お手玉,竹馬,童歌,影絵などの伝承あそびと,力覚,位置覚,動き覚,リズム感覚との関連
(2) あそびの手軽さや異年齢の子どもが群れて遊ぶ形態の感覚発達への作用
動きはそれぞれの感覚要素を必要とするものが多く,あそびの形態は動きのイメージを具体化させ,目標とさせやすい.このことは,伝承あそびが運動感覚を発達させる可能性をもち,さらに実践のポイントである“課題を意識して繰り返し動く”ために有効であることを示すものである.
キーワード

伝承あそび 運動感覚 用具操作 リズム 幼児

タイトル 介護労働、その位置と展望(1)
Care Work ; The Position and Views (1)
著作者 山田 修平
Shuhei YAMADA
ページ 87−94
概要  従来主として個々の家族が担っていた高齢者介護の外部化が進んでいる.それには様々な時代的,社会的要因がある.介護を業とする職業が誕生した.介護労働にはサービス提供と報酬を得るという両面が即応的に存在する.介護労働の現況,いわば介護労働の現時点における位置付けは,そして今後どのように向かうべきなのか.政策的視点を示すと共に,今後の方向を展望する.
キーワード

介護労働 サービスと労働 介護の外部化 高齢化 世帯構成の変化

タイトル 鳥取県西部地震における住宅の生活再建過程と公的支援の課題に関する研究
—西伯町の事例—
The study of the Lifestyle Reconstruction Process by The Tottori—ken Seibu Earthquake and Problem of Injection of Public Fund in the case of Saihaku Town
著作者 浅井 秀子
Hideko ASAI
ページ 95−108
概要  鳥取県西伯町で行った意識調査について日野町との特徴的な違いは以下である.
 延べ床面積における変化:日野町では,中山間地域の伝統的な農家住宅にみられた和室の続き間的な平面計画から,現在の少人数家族にあった小規模な平面計画への移行がみられた.一方西伯町では,200m²以上250m²未満の住宅が震災以前の約3倍を示す等の面積増加のほか,都市型で郊外型の平面計画がみられた.
 復興住宅建設の留意点:日野町では,建物本体の構造や敷地について検討する傾向が強まり,災害に強い住宅づくりを希望していた.一方西伯町では,年齢層に関係なく,都市型の居住形態や現在のライフスタイルにあった平面計画を希望する傾向が強いといえる.
次に鳥取県内市町村の現担当職員を対象に行った公的支援に関する意識調査は,必要性は評価されているが,支給金額や時期に関して見解が分かれる.そして今回は緊急対応的な配慮で行われたため,今後のより詳細な制度化(支給金額や支給基準等)の検討が必要であるとしている.
キーワード

鳥取県西部地震 生活再建 公的支援 意識調査

タイトル 〈研究ノート〉
子どもの心因性諸症状と家族関係
—家庭、学校、専門機関との連携の意義—
The Neuroses of Children and their Family Relationship
—Significance of Cooperation between Families, Schools and Professional Institutions—
著作者 中嶋 邦彦
Kunihiko NAKASHIMA
ページ 109−117
概要  不登校の児童生徒の数は減少したが,心を病む子どもは減っていない.社会の複雑化,家族生活の多様化などで,心因性の症状を呈する子どもは今後ますます増え,深刻化すると考える.そうした中で,第一の当事者である家庭がもっと責任を持つべきであるが,最近の家庭教育は困難な状況にある.そういうときこそ,学校や専門機関の連携は必要である.事例を通してその効果と重要性を明らかにする.
キーワード

連携 不登校 多動傾向 教育相談


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