研究紀要 47号

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第47号 2003年 06月01日刊行    紀要一覧へ
タイトル 風土と宗教(2)
—和辻哲郎『風土』を手引きとして—
Climate and Religion (2)
— Referring to The Climate by Tetsuro Watsuji —
著作者 荒井 優
Masaru ARAI
ページ 1−10
概要  近年,グローバル化や環境問題への関心と相まって,日本の多神教的風土への関心とその見直しが盛んに提唱されている.筆者も,哲学とくに宗教哲学の立場から,そうした動きに関心をもっている.風土論の古典的名著である和辻哲郎『風土』が着想したいくつかの概念を手引きとしながら,日本的多神教の(キリスト教的フィルターを介さない)見直しと日本文化の再理解・再構築に努めたい.
本稿は「風土と宗教(1)」(研究紀要第45号所収)の続編であり,日本文化の特性を和辻の「家」(うち)という概念を手引きとして解き明かそうとしている.
キーワード

東洋と西洋 家 「うち」と「そと」 感情的共同体 自然観

タイトル 中国の食文化
Chinese Food Culture
著作者 銭 剛
Qian GANG
ページ 11−15
概要  中華料理はアジアだけでなく,世界で高く評価されている.中国の食文化は,数千年にわたる創造,模索を通じて形成されたものであり,長い歴史を持つ中国文化の一部である.本文では,中国の食文化に重点を置き,日常生活の実例を取り上げながら,その文化的な背景などについて考察する.
キーワード

医食同源 縁起 多様性 融合 

タイトル 山陰地方の坪庭を中心とした町家空間における夏期温熱環境に関する研究
A Study on Small Gardens’ Effect of Summer Heat in Home Stores in the San-in Area
著作者 浅井 秀子
Hideko ASAI
ページ 17−28
概要  前報1~3)により,トオリニワの土間空間と比較的小さな坪庭が,町屋の冷涼空間となっていることが明らかになった.本報では,比較的小さな坪庭における涼しさは,床下の冷気が坪庭空間に積層化することに起因しており,大きな中庭には見られないことが明らかとなった.しかしながら,坪庭空間に滞留した冷気が,隣接する内部空間にどのような冷涼効果を及ぼすかについては,解明に至らなかった.
また調査対象地区の居住者にアンケート調査を行った結果によれば,調査対象を「坪庭あるいは中庭があり,トオリニワを使用している人」に絞ると,夏に「暑いとは感じない人」が53%であった.その仕組みとしては,庭と内部空間の関係やトオリニワなどの吹き抜け空間の設えが深く関わっていると考えられる.
キーワード

環境共生型住空間 伝統的建造物 温熱環境 蒸暑緩和効果 居住者意識調査

タイトル フランス都市計画制度,特に環境・景観と保存・再生について
—日仏景観会議報告書より—
Politiques de l’Environnement, du Paysage, de la Sauvegarde et de la Réhabilitation dans l’urbanisme français.
——leçons des Apports des Colloques Franco‐Japonais sur le Paysage, 1999—2002——
著作者 宇田 英男
Hideo UDA
ページ 29−39
概要  我国の都市計画制度は建設の枠組みを作る目的で策定運営され,環境維持,特に新しい時代に向かって「持続可」の世界を制御する面では全く機能していない.その端的な例は景観制度で,諸自治体の条例も建設行為による景観破壊を食い止めることが出来ない.各区地域で住民の意識形成に基づく景観管理の実効的制度が作られねばならない.その方向への小さな試みとして既に回を重ねた「日仏景観会議」の教訓を,日仏制度比較の観点で記す.
キーワード

都市計画 景観 環境 住宅 遺産

タイトル 地方青果物市場における野菜の価格変動について
A Study on the Price Fluctuation of the Vegetables in the Regional Vegetable and Fruit Market
著作者 亀崎 幸子・豊口 暁子
Sachiko KAMEZAKI, Akiko TOYOGUCHI
ページ 41−50
概要  食材料費は給食の経費の中でも最も大きな部分を占めるものであり,より良い食材料を適正価格で適正量購入することは給食の経営上重要なことである.今回,新聞に掲載されている地元の青果物卸売市場である倉吉青果市場の玉ねぎの卸売相場を資料として卸売価格の年間変動と曜日別変動について検討した.年間変動を月別に見ると,卸売価格は4月が最も価格が高騰し,5月から徐々に下降し,7月に価格が最も安くなった.その後徐々に上昇し,10月~1月は高い値で推移した.曜日別に見ると金曜日が価格が最も高く,月曜日が価格が最も安くなることが示された.
キーワード

玉ねぎ 価格変動 年間変動 曜日別変動 倉吉青果市場

タイトル 小児1型糖尿病患者の間食の実態と食間時の空腹対策
The Actual Conditions of 1 Type Diabetic Children’s Snacks between Meals and Measures against Hunger
著作者 野津 あきこ・佐々木 香苗・田中 美紗子・武田 倬
Akiko NOTSU, Kanae SASAKI, Misako TANAKA, Akira TAKEDA
ページ 51−59
概要  小児1型糖尿病患者31人の間食のアンケート調査を行なった.間食内容は,クラッカーやスナック菓子が多く,アイスクリーム・ゼリー・煎餅などもある.飲料では,ノンカロリー飲料・牛乳・スポーツ飲料が多い.果物は,3分の1程度の人が間食として利用している.表1(穀類)や表6(野菜)は,間食としてはほとんど利用はなかった.本調査結果から,子供の間食についてのとり方や理解のしかた,今後の食事指導の注意点や空腹時の対策についての方法が確認された.
キーワード

1型糖尿病 間食 食事療法 アンケート調査

タイトル 鳥取県における豆類利用の地域性と調理文化
Regional Characteristics and Culinary Culture of Pulse Use in Tottori Prefecture
著作者 松島 文子・板倉 一枝・横山 弥枝
Fumiko MATSUSHIMA, Kazue ITAKURA and Yae YOKOYAMA
ページ 61−72
概要  鳥取県内で食されている豆類について,調理および豆加工品の利用状況,食事での位置づけ,伝統的料理の特徴と地域特性などに関するアンケート調査および聞き取り調査を行った.調査の結果,豆類ではだいず,あずき,グリンピース,さやいんげん,豆加工品では木綿豆腐,油揚げ,おから,凍り豆腐などが日常食や行事食によく用いられていた.自家栽培の豆の利用率が高く,大豆は豆腐・味噌など伝統的な加工利用もみられた.鳥取県の特色ある伝承料理,郷土料理として,あずき雑煮,そらまめの粉ふき,そらまめの皮取り,豆ようかん,こも豆腐,いただきなど地域に特有の調理文化が受け継がれていることが確認された
キーワード

豆類 調理・加工品 地域性 調理文化 鳥取県

タイトル 〈研究ノート〉
「教育福祉」研究に関する一考察
—特別なニーズ教育の視点から—
A Study of “Education Welfare” Research from the Viewpoint of Special Needs Education
著作者 國本 真吾
Shingo KUNIMOTO
ページ 73−80
概要  「教育福祉」とは,「社会的に困難を抱える人々の教育権・学習権保障の問題の検討」を通して,「教育ないし教育権・学習権の本質に迫ろうとする方法」である.本稿では,今日の教育・福祉をめぐる様々な問題を克服する指針を,「教育福祉」研究の到達点を整理するなかから見出そうと試みた.また,「特別なニーズ教育」学の視点から,「教育福祉」研究との接点や関連性についての提言を行なっている.
キーワード

教育福祉(論) 小川利夫 生涯学習権 特別なニーズ教育 SNE


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