トップページ > 本科・専攻科 > 本科(二年制) > 幼児教育保育学科 > お知らせ > 教員コラム第5回@「特別ニーズ保育・教育」ってなに?(國本真吾)

教員コラム第5回@「特別ニーズ保育・教育」ってなに?(國本真吾)

教員コラム第5回@「特別ニーズ保育・教育」ってなに?(國本真吾)
    幼児教育保育学科にはさまざまな専門分野の専任教員がいます。それぞれの研究活動や授業内容について、リレー形式でコラムを掲載していきます!

    今回は、幼児教育保育学科の國本真吾教授です。國本教授は、「特別ニーズ教育学」が専門で、専門科目「特別ニーズ保育・教育」を中心に担当しています。

    教員コラム第5回

    「特別ニーズ保育・教育」ってなに?
    幼児教育保育学科
    教授 國本真吾
    (2023年11月15日掲載)

    私は「特別ニーズ教育学」を専門分野の筆頭に掲げていますが、聞きなれない言葉の方もいらっしゃるでしょう。日本では、障害のある子どもの教育(幼・小・中・高)は「特別支援教育」という制度と表現します。盲・聾・養護学校といった特別支援学校、小・中学校にある特別支援学級、そして通常の学級に在籍する障害のある子どもに対する教育の制度のことです。文部科学省は、特別支援教育を“Special Needs Education”(SNE)と英訳しています。逆にSNEを日本語に直訳すると、「特別ニーズ教育」です。では、「特別ニーズ教育」=「特別支援教育」なのでしょうか?
    諸外国の様子を見ると、SNEの対象となる子どもは、障害だけではなく、不登校、貧困、被虐待、性的マイノリティなどで、教育上何らかの支援を要する子どもたちを含みます。文部科学省は、障害のある子どもの教育を「特別支援教育」=SNEとしていますが、諸外国に比べて明らかに限定的な捉え方です。よって、研究者として「特別支援教育を専門としています」と私は言うことはなく、必ず「特別ニーズ教育学を専門としています」と自己紹介をします。それは、対象が限定的な今の日本の特別支援教育を批判的に検討し、単に対象者を広げるだけではなく、そもそも「教育」や「教育学」はどうあるべきかを問う学問的アプローチとして、「特別ニーズ教育学」が存在するという考えからです。
    「多様性と包摂」(Diversity & Inclusion)ということが昨今言われますが、保育・教育の現場を見渡すと、諸外国のようなSNEの対象となっている子どもが多く指摘されています。「発達障害」はその一つとして注目されますが、他にも同じように何らかの支えや取組みを要する子どもが存在しています。では、支援が必要な子どもだけに支援を用意すればよいのかというと、実はすべての子どもが何らかの支援を要していることも少なくありません。世の中にはユニバーサルデザインという取組みもありますが、保育・教育の現場でユニバーサルな発想を持つことは、今は必須になってきています。
    そのようなことから、本学科では「特別ニーズ保育・教育」という科目名の授業を、全国の保育者養成校の先陣を切って10年前に立ち上げました。他の学校では「障害児保育」と呼ばれる科目ですが、ようやく時代が追い付いてきた感があります。この科目での学びは、単に障害のある子どもだけを理解する対象としてはおらず、障害のある子どもの保育・教育をきっかけにして、「すべて」の子どもの理解に基づき、そして保育・教育の本質や在り方を考えていくことにしています。
     
    「特別ニーズ保育・教育」の授業の様子
    「特別ニーズ保育・教育」の授業の様子

    Facebook twitter


    fixedImage
    ページトップ