准教授 青木 淳英

1.教育に対する責任

私は本学において、主に社会福祉系の教育を担当している。特に、保育者・福祉専門職にとって基礎となる「社会福祉の理念や意義、制度・実施体系、子ども家庭福祉の現状と課題・展望」を中心に教育している。他の教員が担当する、保育・幼児教育の専門科目の内容への橋渡し役でもある。

学校法人藤田学院ホームページ「教員紹介2023」

2.教育の理念

私は、本学の教育活動において、以下の4点を重視している。

1) 福祉専門職としての価値観(人間観、社会観)の浸透
2) 自ら主体的に取り組み、「考える力」の育成
3) 自分の考えを表明でき、他者の意見を尊重できる力の育成
4) 学びを通して自己の成長を実感できること

3.教育の方法

上述の教育理念を達成するため、例えば1年次前期の必修科目「社会福祉」では、次のような授業を行っている。
この科目では、保育士養成課程の必修科目であることを前提に、社会福祉の基礎知識(法制度、行財政と施設、子ども家庭福祉、障害福祉、公的扶助、権利擁護など)と福祉専門職の倫理・価値観を身に着けることを目標としている。
授業冒頭には、学生に対して毎回授業の目的・達成課題を明確に伝え、前回授業の質問・感想に対する説明(リアクション)を行っている。福祉専門職として必要な知識を得るための講義だけでなく、福祉実践と学んだ知識との関連性をイメージしやすいように、視聴覚教材の視聴も採り入れている。また、事例検討などの演習を設定し、【ワークシート】を手掛かりにしながら、自らの意見を表明し、他者の意見を聴く機会を設けるとともに、学生ができる限り積極的かつ主体的に学び、「考える力」が伸びるよう意識して授業を行っている。
1学年全員で行う対面授業でもあるため、特にオンラインツールを積極的に活用し、学生が意見表明しやすい環境を作っている。具体的には、①Googleフォームを使って【確認テスト・授業アンケート】を毎回行っている、②レジュメ・資料を【Google Classroomで配布】し、学生がいつでも参照できるようにしている、③学生への発問や視聴覚教材の視聴時には、【Google Chat】を活用して学生からの意見や感想をスクリーンに投影し、全体で共有、その場で解説を加えるなどしている。
成績評価(2022年度)は、ワークシート・確認テスト60%と、学期末の筆記試験40%を合計して行うこととし、特に毎回授業への参加・取り組み状況を重視している。

鳥取短期大学ポータルサイト「シラバス検索」

4.学生による授業評価

2022年4月着任のため、2021年度の本学での授業評価アンケートは実施していない。
担当する全科目の授業(特別研究や実習指導を除く)において、毎回、Googleフォームを使って授業アンケート(確認テスト、コメントペーパー(授業の要約、質問、感想)、授業評価(3段階))を行っている。授業評価は、①授業態度の自己評価、②授業理解の自己評価、③授業に対する評価の3項目であり、第1~7回の合計平均は、①2.81、②2.71、③2.78となっている。書かれた質問・感想に対する回答集として【リアクションペーパー】を作成して次回授業時に配布・説明している。②授業理解の自己評価が相対的に低い数値となっており、リアクション時に学生が理解しきれなかった部分への追加説明等を丁寧に行いたい。

5.教育改善への取り組み

学内で開催されるFD研修や授業公開・見学には、積極的に参加したいと考えている(前任校ではこれらに参加し、自らの授業の参考にし、一部採り入れていた)。
前任校での勤務時には、授業評価アンケートの結果や、独自で行っている毎回の授業アンケート結果(学生からの質問・感想、授業評価)を踏まえて、当該科目の授業内容や方法について振り返りを行っている。それらは、次期シラバス作成時に生かし、毎年度改善を加えている。
なお、授業改善は、上記コメントペーパーで聞き取った学生の意見・要望を真摯に受け止め、直ちに改善できるものは次回授業時に活かすようにしている。

6.今後の目標

1) 短期的な目標
  1. 福祉専門職としての人間観の浸透(特に社会的に不利な立場にある人への理解促進)
  2. 科目間の連携(学修内容を実習系科目と結び付け、実践できる力を育成)
2) 中・長期的な目標
  1. 自ら主体的に取り組むための「興味・関心の広がり」を作る仕組みづくり
    学生の入学動機の多くは、「保育士資格・幼稚園教諭免許を取得するため」である。それは、ともすれば「必要な科目の単位を取るだけでよい」と考え、試験対策に終始することになりかねない。短期大学での学びは「学修」である。学生が「学修する」ためには、保育・幼児教育を起点とした関連分野や基盤となる分野への興味・関心を広げていくことが不可欠であるが、そうした学びの経験を重ねてこなかった学生も存在する。授業等を通して、関連分野を中心に、社会の出来事などへの興味・関心を広げる取組み・仕組みを検討・実践していきたい。
  2. 自己の成長を実感できるための仕組みづくり
    学生が記入・作成したワークシートやレポート課題は、確認後に返却している。これらを学修成果物として学生が保管し、読み直すことでこれまでの授業にどのように取り組み、何を学び、身につけたのかを実感できると考えている。しかし、その成長を実感するためのガイドとなる添削が十分にできていない。改善策や他の方法を検討したい。
    また、学生が保育者・福祉専門職としての成長を実感できるような本学科独自の仕組み、例えば50程度の課題を分野ごとに設定し(ピアノ演奏、体育、図画工作、ボランティア体験など)、各分野の課題群をクリアするごとに、「とりたん●●マスター」(●●は分野名)を与える。全分野の課題群をクリアした学生には、「とりたん保育マイスター」の称号を与えるなど、成長の「見える化」も含めた取り組みができないか検討してみたい。
最終更新:令和4(2022)年6月10日

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