教授 清水 文人

1.教育に対する責任

私は本学において主にデザインと建築分野における、アイデアの視覚的表現、デザイン作品や建築設計に求められる表現力と企画力の育成に関する教育を担当している。中でも、「スケッチやデザイン画に求められる描画能力の養成・強化」には特に重点を置いた教育を行っている。加えて、企画力については「問題発見」「課題解決」に力を入れており、学生に対し、デザインの論理的な展開ができるようステップごとに解説を行いながらデザインをまとめていくよう教育している。

学校法人藤田学院ホームページ「教員紹介2023」

2.教育の理念

私は、本学の教育活動において、以下の3点を重視している。

1) 豊かな創造性を備えたクリエイティブな人材の育成
2) 多面的な視点を持ち、常に自分の頭で考える思考性向の育成
3) 自身の考えを的確に伝えることのできる表現力・伝達力の修得

3.教育の方法

上述の教育理念を達成するため、1年生前期の必修科目の「基礎デザインⅠ」では、デザイン、建築に求められる表現力の修得に向けたスケッチ演習を行っている。学生の描画したスケッチはスマホカメラで撮影後 Google Classroom に提出させ、その後全員の課題を評価し、アドバイスとコメントを添付し返却している。
1年生後期の「デザイン基礎Ⅱ」では、パッケージデザインを題材に、表現力、企画力を発展させるための演習を行っている。
2年生では、1年次の基礎的授業をさらに進めた、2年生前期の「プロダクトデザインⅠ」の科目において、製品開発やデザイン開発といった授業のテーマの中で、学生自身がデザインの方向性や商品企画を考案し、具体的なパッケージデザインに完成させ、自分の頭で考え創造できるクリエイティブな能力の養成・強化に向けた実践的な授業を行っている。

鳥取短期大学ポータルサイト「シラバス検索」

4.学生による授業評価

2021年度の授業評価アンケートにおいては、講義系の科目のほぼすべての質問項目において全体の平均を上回っていた。授業に対する満足度(項目4)は、1年生後期の必修授業である「デザイン史」が、3.73(講義全体の平均3.40)であった。
演習系の科目においても、ほぼすべての質問項目において全体の平均を上回っていた。授業に対する満足度(項目4)は、1年生前期の必修授業である「基礎デザインⅠ」が、3.68(演習全体の平均3.38)、2年生前期の選択授業である「プロダクトデザインⅠ」は、3.75(演習全体の平均3.48)であった。今年度は感染症拡大による遠隔授業により授業の進捗が思うように行えなかったが、「デザイン基礎Ⅰ」で導入したClassroomを使った課題評価とコメントによるアドバイスは、予想以上に学生の表現力向上に役立った。今後もこのような新しい授業ツールを活用した授業内容の改善に努めていきたい。【2021授業評価アンケート】

5.教育改善への取り組み

学内で開催されるFD研修には必ず参加し、授業公開では、特別研究を除くすべての授業を公開していて、見学された職員、教員からの意見を参考に、授業の改善方法を検討している。授業見学はできる限り参加するようにしており、他の教員の授業方法や説明資料の作り方、見せ方なども参考にさせてもらっている。
授業においては、どのような授業であっても、常に「問題意識」を持って授業に望んでもらえるよう工夫をしている。例えば、「デザイン概論」であれば、あるジャンルのデザイン事例を紹介し、学生に対し「なぜこのようなデザインに至ったか」を問いかけ、当てずっぽうでもいいので、「自分で考え、自分で答えを出す」ことを先に経験させてから、授業の中で説明していく進行となるよう心がけている。このような手法をとることで、ただでさえ受動的になりがちな講義授業であっても「自分の頭で考えながら教員の話を聞く」ということの習慣づけができると考えている。
また、演習系の授業でも、今学習している技術や技能が、実務上のどのようなことに役立つのか、どのような目的で学習しているのかを最初に説明し、学生に実務のイメージを持ってもらいながらすすめるよう心がけている。

6.今後の目標

1) 短期的な目標
  1. デザイン、建築分野における「表現力」「表現技術」のさらなる向上。
  2. 3Dモデリングにおけるビジュアライゼーションテクニックの授業への組み込み。
  3. 特別研究における「フィールドサーベランス」「問題発見」の実体験機会の拡充。
2) 中・長期的な目標
  1. 学生の自主的企画・提案力の高度化。
    現在の住居・デザイン専攻の学生の自主的な企画・提案力は、学生レベルと見ても、高いとはいえない(もちろん個人差は大きいが)。これを少なくとも4年制大学レベル(できれば建築系、デザイン系大学並みに)に引き上げる。
最終更新:令和4(2022)年7月26日

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