教授 岡野 幸夫

1.教育に対する責任

私は本学において、主に国語系の教育を担当している。その中でも特に「読む・書く」を中心に教育している。「話す・聞く」については他の国語系の非常勤講師が担当するほか、プレゼンテーション系の科目において他の教員が担当し、教育している。

学校法人藤田学院ホームページ「教員紹介2023」

2.教育の理念

私は、本学の教育活動において、以下の3点を重視している。

1) 日本語の運用能力の向上
2) 日本語力に基づいた「考える力」の育成
3) 学びを通した自己の変化(成長)を意識させること

3.教育の方法

上述の教育理念を達成するため、例えば1年次前期の必修科目「日本語表現法」では、次のような授業を行っている。
この科目では、3,000字前後の文章を読んでその内容を理解し、まとめることを通して、文章の内容を読み取り簡潔に表現する力を養うことを目標としている。また、理解した内容をグループで議論することを通して、視野を広げ、自分の考えを他者に説明する力を伸ばすことも狙っている。
配付する文章のテーマとしては、「子どもとネットいじめ」「フィリピンの英語学校」「障碍者と健常者の境界」「コミュニケーション力とは」「自立の意味」(2022年度使用分)など、学生にとって身近で興味の持てそうなものでありながら、本学科の学びにもつながるようなものを選んでいる。
近年の学生の気質を考慮し、授業で取り組む内容とその意義についてはそのつど十分に説明し、【ワークシート】を配付することによって「何をどう取り組めば良いか」を学生が具体的にイメージできるよう工夫している。
成績評価は、ワークシート50%(2022年度は5つ分)と、学期末の筆記試験50%を合計して行っている。

鳥取短期大学ポータルサイト「シラバス検索」

4.学生による授業評価

2021年度前期の授業評価アンケートにおいては、ほぼすべての質問項目で全体の平均値より高い結果が出た。授業に対する総合的な満足度(項目d)の値は、1年次前期の必修科目「日本語表現法」では3.6(講義全体の平均3.4)、2年次前期の必修科目「日本語表現演習」では3.6(演習全体の平均3.5)であった。
一方で、学生が授業時間外の学習にあまり取り組めていないという結果も出た(項目b)。「日本語表現法」では3.0(講義全体の平均3.0)。全体の平均とほぼ同じだが、他の項目に比べると低い。「日本語表現演習」では3.3(演習全体の平均3.2)であり、学年による差が見られる。集団の特性に左右されにくい教育力を身につけたい。

5.教育改善への取り組み

学内で開催されるFD研修には欠かさず参加している。また、授業公開・見学も、時間をやりくりして参加し、参考にできる点を探している。
教員個人としては、教務課から返却される授業評価アンケートの結果を受けて、その期の授業について反省を加えている。また、毎年の年末年始にかけてシラバスを執筆し提出しているが、この時に次期の授業をどうするか、それまでに研究等で得られた新たな知見を取り込んだシラバスとなるよう努力している。
学生からの【コメントシート】を集める科目では、その内容に応じて、次回以降の授業を適時に改善したり、さらに発展的な内容を補足的に講義して学生の興味を喚起したりすることができるようにしている。

6.今後の目標

1) 短期的な目標
  1. 学生の日本語運用能力、特に「読む力」の向上
  2. 科目間の連携(学修内容を他の科目で実践、応用できる力を育成すること)
  3. 日本語検定(3級)の認定率の向上(認定率100%をめざす)
2) 中・長期的な目標
  1. 「考える力」に基づいた「コミュニケーション力」の向上
    近年の学生の気質として、概して自分をさらけ出すことをせず、相手の領分にもあまり踏み込まない、いわば「薄い」付き合い方が多いようである。それが「マナー」だと捉えている節も認められる。
    しかし、もっと深い対話ができれば、コミュニケーション力の向上にもつながると思われるので、授業で行うグループワークやペアワークでの対話が少しでも有意義なものになるよう、工夫していきたい。
    また、学生同士の議論では、建設的な批判に慣れていないせいか安易な認め合いが多く、ピアレビューが上手くいかないこともあるため、ピアレビューの意義を学生に理解させるとともに、より具体的に取り組めるようなルーブリック的な資料の作成もめざす。
最終更新:令和4(2022)年6月8日

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