鳥取短期大学

助教 山村 裕子

1.教育に対する責任

私は本学において乳児保育・子どもの保健を担当している。その中でも、特に発育発達に応じた実践的かつ保健的な学びについて中心に教育している。乳児保育では、その乳児(ここでは3歳未満児をいう)の特性から「養護」や「保健的対応」が重要視されており、集団生活が維持されるためにも、より実践的な対応ができるための内容が求められる。子どもの保健では、からだとこころの関連性を踏まえて、生涯に渡る生活習慣づくりと健やかな心身の発達への影響について理解する。既存の理論や方法論を知識として習得するだけの学習だけに終わらず、現場で次々と求められる近年の健康危機管理や子育て支援(感染症・こころの問題・虐待等)に関することに、主体的に考え、取り組む人材育成をしていきたい。そのため、応用的なワークを通して、他者の意見も聞きながら、どのような対応をできるか思考するプロセスを演習科目で重要視する。保育者から見れば保健は他領域の専門性であるが、学びに自信がもてるような授業展開をしていきたいと考える。

学校法人藤田学院ホームページ「教員紹介2021」

2.教育の理念

私は、本学の教育活動において、以下の3点を重視している。

1) 保育現場における養護・保健的対応の実践力の向上につながる学びに自信をもつ
2) 保育における保育保健の役割と意義を理解し、他職種連携の視点をもつ
3) 自分や他者を大切にするこころを育み、学生生活において自身の健康管理ができるようになる

3.教育の方法

上述の教育理念を達成するため、例えば2年次前期の保育士必修科目「乳児保育Ⅱ」では、次のような授業を行っている。
基本的生活習慣である食事・睡眠(抱っこ)・排泄・清潔・衣服の着脱の中でも、抱っこ・排泄(清潔)・衣服の着脱及び身体計測・健康観察について、実技演習により、具体的な援助技術を習得する。その際、2人ずつのペアになり、各々が取り組む際には観察者にもなり評価する。自分自身の振り返りに反映させる。演習後のワークシートにより、今後も自分の課題である点や覚えておきたいポイントをまとめる。自分の弱点となりやすい部分を理解した上で、今後、乳児とふれあう機会をもつことで、実践をさらに積み重ねていくことによって力をつけることを長期的な目標としている。
また、基本的生活習慣に関する保育場面でよくあるが難しい対応について、事例を通して考える個人ワークを実施している【ワークシート】。他者の解答も聞き、さらに教員からの解答例も示す。乳児の思いを読み取ることは難しいが、様々な文脈の中でこれまでの学びを関連させて考え、保育実践も在り方も多くの選択肢をもてるように視野を広げることとしている。
乳児期の発達の個人差や、個別の配慮を必要とした援助が求められることを理解するために、「乳児期の育ちと保護者の関わり」について、事前事後学習と授業とを関連させて実施している。事前学習では、母子健康手帳の記録を読み取りながら、経時的にまとめる【表】。そして、可能な範囲で保護者への聞き取り、それらを通して気づいたことを乳児保育にどう生かせるか、レポート課題を提出させる。授業では、自分自身と他者の育ちや保護者の関わりについて、グループワークを実施し、理解を深める。自分やその家族との関係性の中での育ちと、他者の育ちを比較することで、発達や育ちの多様性を身近に理解することができる。近年の学生の養育背景には複雑であることを考慮し、記憶のない時代に誰もが養育者の細やかな日々の育児を受けて成長し、現在につながっていることを理解できるように、注意を払い、個別の配慮をするようにしている。
乳児保育の科目でこれらの課題に取り組むことで、発育発達の著しい変化があり、言語発達が未熟な乳児の育ちを支えるためには、乳児を理解することはもちろん、保護者への支援も必要不可欠であること、個別性のある対応がとても重要であること、何より、私たち自身一人ひとりが手をかけてもらいここまで育っていること、を理解できることを目指している。
成績評価は、学期末の筆記試験70%、レポート10%、授業態度10%、提出物10%を合計して行っている。

鳥取短期大学ポータルサイト「シラバス検索」

4.学生による授業評価

2019年度の授業評価アンケートにおいては、1項目を除き、ほぼすべての質問項目で全体の平均値より高い結果が出た。授業に対する総合的な満足度(設問ⅾ)の値は、1年次後期の科目「乳児保育Ⅰ」では3.6、1年次後期の科目「子どもの保健」では3.5(講義全体の平均3.2)であった。
平均値より低い結果であった項目は、「シラバスの授業時間外学習の内容を元に積極的に予習・復習などに取り組んだ」(設問b)だった。「乳児保育」は2.7、「子どもの保健」は2.8(講義全体の2.8)であったが、その理由として考えられるのは、教員側が事前事後学習について、毎回求めることはしなかったためだと思われる。今後の事前事後学習は、シラバス上に明記されることになったこともあり、声かけやフィードバックにも努めていきたい。

5.教育改善への取り組み

学生のコメントシートは毎回得るようにしているため、内容を振り返り、必要な点は、すぐに改善を図るようにしている。また、学内開催のFD研修へ参加したり、授業公開等でも他の教員の取り組みを参考にして、新たに取り入れられる部分を探し、よりよい授業へと改善できるように努めている。学期の授業が全て終了した後には、今学期の計画の反省点をまとめ、次年度のシラバス執筆時までに、計画案を作成するようにしている。

6.今後の目標

1) 短期的な目標
「保育現場における養護・保健的対応の理解と実践力の向上」
2) 中・長期的な目標
「自分と他者のこころとからだを大切にすることができる心を育む」
学生らは様々な背景をもち、保育者を目指す。自分自身の安定した心身の状態があってこそ、他者の育ちを支えることができるものである。そのためにも学生支援も努めていきたい。
最終更新:令和2(2020)年6月27日

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