鳥取短期大学

准教授 南 潮

1.教育に対する責任

私は本学において心理学系の教育を担当している。その中でも特に保育士,幼稚園教諭養成課程における「人間発達」「幼児理解」「家族支援」に関する科目を担当しているが、これらは保育者になるにあたっての基本的な態度・姿勢を形成する土台的な役割を果たしていると考えている。

学校法人藤田学院ホームページ「教員紹介2021」

2.教育の理念

私は、本学の教育活動において、以下の3点を重視している。

1) 発達心理学の基礎的な理論・知識の十全な理解、習得を促すこと
2) 他者の心に真摯に寄り添う姿勢を身につけさせること
3) 問題を自分自身の頭で考え、それをまとめて記述する力を身につけさせること

3.教育の方法

「保育士養成課程を構成する教科目の目標及び教授内容の見直し」により、本年度私が担当する科目の内、「子ども家庭支援の心理学」「子どもの理解と援助」の2科目が新設され、「発達心理学(保育の心理学)」についての教授内容が大幅に変更された。そのため本年度は、これまでの教授内容をどのように組み替え、更新していくかが大きな課題となっている。
一方、今回の見直しで保育者養成の中で心理学教育が果たすべき役割がある程度明確にされたと受けとめている。「発達の見通しという時間軸上の感覚や判断を、どのように磨き、自覚し、他者と共有していくか」という専門性について、包括的な知識の習得、理論の理解に加え、特にそれを「保育実践」との関連付けを求める傾向がさらに強まっていると捉える。
それら要請を踏まえ、また、上述の教育理念を達成するために、私の担当する授業では科目間の階梯性を意識し、各回、授業の内容に対して、受講者が自分の意見を考え記述するコメントシートを配布している。例えば本年度開講の2年前期「子ども家庭支援の心理学」では、各回テーマを与えて400~800字程度で自分の考えをまとめレポートとして提出させる課題を出している。テーマの例としては

  • 「乳幼児の発達の特徴を踏まて、この時期の子育てにおける特に父親の役割について考察してみてください。(第3回)」
  • 「青年期にインターネットやSNSを通じた嫌がらせやいじめが生じやすい理由と、その対処法について、具体的な事例を想定して考えてみてください。(第4回)」
  • 「将来自分が子育てをするとき、パートナーに対して期待したいことはどのようなことですか?(第5回)」
  • 「あなたがこれまでに経験したり目撃したりした、家族ライフサイクル、あるいは家族システム論の問題として理解できそうな問題について、事例とその経過を紹介してください。(第9回)」
  • 「子どもを持ちたいと思う若い人が多いにもかかわらず、実際には子どもを産む人が少ないという統計結果に対して、あなたの感想や意見を述べてください。また、それに対してどのような施策が必要だと思いますか?(第11回)」

といったように、各回の授業内容を自らの身近な問題として考え、内容の全体的理解を促し復習となるように、また保育者としての姿勢を自ら作っていく足がかりとなることを狙っている。保育日誌の考察などで必要となる文章力や記述力の養成の一つとしても考えていて、提出は翌日朝までとし、考える時間を十分与えるとともに、あわせて時間までにまとめて提出する訓練となるように考えている。

鳥取短期大学ポータルサイト「シラバス検索」

4.学生による授業評価

前述のように本年度開講科目は、昨年度から大幅に変更になっていることから、これまでの学生評価がそのまま継続するかどうかは不明である。しかし、これまでの学生評価からは次のような課題を感じている。一つは大人数の講義形式で心理学のように「聞き手の個別性」を尊重する内容を扱うことの困難さであり、知識習得型として構成せざるをえないことの限界である。この問題に対しては前述のレポートのやりとり、特にできるだけフィードバックをしていくことで改善したいと考えている。
もう一つはこれまで保育実践が心理学に対して何を期待するかに不明確な部分があったことがあると考えている。人に対する科学として理論的な体系、臨床知を集積した専門性の高い心理学について、保育者養成の中でどのように位置づけていくのか、これまでのカリキュラムでは整合性が十分にとれてはいなかったと感じている(例えば保育内容(人間関係)など)。今回の科目見直しにより、実践と理論の切り分けがかなり整理されてきたと感じており、今後、そのことが学生に伝わるようにしていきたいと考えている。

5.教育改善への取り組み

学内で開催されるFD研修には欠かさず参加している。また授業公開・見学も、時間をやりくりして参加し、参考にできる部分を探している。教員個人としては、教務課から返却される授業評価アンケートの結果を受けて、その期の授業について反省を加えている。また、毎年の年末年始にかけてシラバスを執筆し提出しているが、この時に次期の授業をどうするか、それまでに研究等で得られた新たな知見を取り込んだシラバスとなるよう努力している。本年度においては授業中に小グループに分かれてのグループディスカッションを多く取り入れる予定であったが、新型コロナウイルスの影響により断念した。今後情勢の変化を見て実施を検討していきたい。

6.今後の目標

1) 短期的な目標
  1. 新科目の教授内容が学生に正しく理解されていること
  2. 科目間の連携(教授内容に無駄な重複がないように、また互いに補完できるようにする)
  3. 学生が保育者としてのあるべき姿を自分の頭で考え、常に向上していく姿勢を持つように、授業がきっかけとなること
2) 中・長期的な目標
卒業後、保育者になっていく学生たちが、将来、保育を通して地域社会全体を明るく楽しいものにしていく原動力として有為な存在に育っていけるように、人間力を身につけさせること。
最終更新:令和2(2020)年6月30日

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