鳥取短期大学

教授 國本 真吾

1.教育に対する責任

私は本学において、教育学・保育学系科目を中心に担当している。専門である「特別ニーズ教育学」を生かし、法制度・行政の他、障害のある子どもをはじめとした様々な教育的ニーズを有する子どもの実践を基に、すべての子どもの発達保障に通じる保育・幼児教育のあり方を探求する学びを担当している。

学校法人藤田学院ホームページ「教員紹介2021」

2.教育の理念

私は、本学の教育活動において、以下の3点を重視している。

1) 日本国憲法・子どもの権利条約・児童福祉法・学校教育法・児童憲章などの諸規定に基づき、子どもの諸権利を保障できる保育者を育む
2) 特別な教育的ニーズを有する子どもへの理解や支援の視点を出発点とし、すべての子どもの人権保障へと発展させることができる人間を育む
3) 人間発達の理論の趣旨を理解し、学生自身が課せられている発達課題・教育課題に立ち向かえるよう、大学生活における様々な場面において学生教育を展開する

3.教育の方法

上述の教育理念を達成するため、次の方法を用いている。
法治国家である我が国において、日本国憲法・各種条約に基づき国内関連法が整備され、それらにより教育・福祉の諸制度が設けられていることを理解する。そのうえで、国民及び専門職としての保育者が、子どもの諸権利を保障するための責務は何かを自覚する。これらを自覚するうえでは、諸権利が保障されていない実態や過去の歴史の事実の基づき、権利侵害の克服・脱却に挑戦した先人たちの苦労や歩みを教材として扱う。
障害による特別な教育的ニーズを有する子どもの理解を中心に、我が国の歴史や現状を紐解きながら、制度矛盾やその背景にある社会の考え方の問題に着目させ、学習者が自らの考えを持ち得ていくよう、一つの事象に対する賛否の考え方を示しながら、主体的な思考や行動が行えるようにする。
田中昌人・杉恵による「可逆操作の高次化における階層-段階理論」を軸に、子ども理解における人間発達の理論を用いる。また、この人間発達の理論を学生教育にも援用し、青年期の発達課題・教育課題を設定し、学生の発達保障に繋がるようにする。
授業場面では配布資料や提示スライド、学内では掲示やメール等において、上記の事項を念頭に置き、学習者の理解やその過程を考慮した効果的な方法や提示の仕方を工夫する。

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4.学生による授業評価

2019年度の授業評価アンケートにおいては、単独で担当する科目の平均値は3.5、複数で担当する科目の平均値は3.3であった。ここでは、単独で担当する科目「保育原理Ⅰ」「特別ニーズ保育・教育Ⅰ」「特別ニーズ保育・教育Ⅱ」の3科目について述べる。
1年生対象の「保育原理Ⅰ」(前期)と2年生対象の「特別ニーズ保育・教育Ⅰ・Ⅱ」(前期・後期)では、2年生の結果の方がいずれの項目においても上回っている。「d 私は総合的に授業に満足した」は、「保育原理Ⅰ」が3.3、「特別ニーズ保育・教育Ⅰ・Ⅱ」がいずれも3.7であった。特に、「i 各種教材・教具(テキスト、プリント、ビデオ、パワーポイントなど)の活用により、授業が分かりやすかった」という項目は、上記「3.教育の方法」で述べた通り、学習者である学生の理解に沿う形で毎回工夫したものを用意している。「保育原理Ⅰ」では3.6だが、「特別ニーズ保育・教育Ⅰ・Ⅱ」はいずれも3.8と高評価である。「保育原理Ⅰ」が講義形態、「特別ニーズ保育・教育Ⅰ・Ⅱ」がクラス別の演習形態という相違はあるが、学生との信頼関係の形成に伴って、教師や授業の意図が理解されていっているのではないかと思われる。
課題としては、「b 私はシラバスの「事前事後学習」の内容を元に、予習、復習などに積極的に取り組んだ」が、「保育原理Ⅰ」が2.5、「特別ニーズ保育・教育Ⅰ」が3.1、「特別ニーズ保育・教育Ⅱ」が3.4と、他の項目と比較しても低い。「事前事後学習」の概念や内容の理解とともに、学生が意欲的に取り組む仕掛けを検討していきたい。

5.教育改善への取り組み

学内で開催されるFD研修には、単に参加者としてだけではなく、裏方的にその研修企画に関わることが多い。「教育」は、教育学を専門としない教員でも経験論として語ることが出来るため、FDそのものが非常に危険な方向性を向く場合がある。組織として用意されるFDに留まらず、情熱や心ある教職員と協働した形での、自主的・主体的なFD活動の展開を試みている。
授業においては、「学生理解」を起点とした形を意識している。本学科の場合、教職課程コアカリキュラム、指定保育士養成施設における教育内容が監督官庁から定められていることもあり、学習内容は決まっている。肝心なのは、学生の学びに資する形でどのように教え届けるかである。学生が中等教育段階までの学校教育で何を積み上げ、逆に何を積み残しているかを読み解くことが、本学の学生指導においては有効である。特に学力面に留まらず、内面の発達的課題や生活の歩み、育ってきた家庭や地域の養育環境などに基づき、授業に対しても日々教材研究を行っている。つまり、学習内容が学生自身にとって我が事として結びつく形で、子どもや家庭の姿、地域課題などを精選し、授業内容を構成している。

6.今後の目標

1) 短期的な目標
  1. 保育者に必要な人間性の涵養、生活力の習得に向けた教育内容の構築
  2. 学生が「鳥取短期大学で学んでよかった」「ここに来た甲斐があった」と思える授業の質の保証
  3. 青年後期にある学生の発達課題に迫る大学教育実践の展開
2) 中・長期的な目標
  1. 子どもの人権を侵害しない、生命を脅かすことがない社会人の育成
  2. 多文化・多様化する現代における子どもの発達保障に資する保育者の養成
  3. 現代の高等教育機関における学生の発達保障に資する大学教育実践の提唱
最終更新:令和2(2020)年6月29日

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